こんばんは、MDです。
今回は、ルームシェアを始めて程なくして通い始めた、近所の名画座「飯田橋ギンレイホール」についてのお話です。
名画座というと、最近では新型コロナウイルスの影響を受けてどこの映画館も厳しい状況に立たされています。僕の知る限りだと、もうすでに立ち行かなくなってクローズせざるを得ないところも出てきています。。
ギンレイホールをはじめ、クラウドファンディングなどで手を打っている映画館もいくつかありますが、実際はこの先もウイルスの感染症対策として入場制限がかけられ、以前と同じような状態にはなかなか戻れないのが現実です。(https://motion-gallery.net/projects/ginreihall)
従来型の座席配置を少しでも見直していくことで、適切な距離感を持ってこれまでより気持ちよく映画鑑賞の場を提供するなど、今はまさに新しい映画館のかたちを示す機会なのかもしれません。
僕個人の想いでもありますが、名画座は何があってもなくしてはいけない存在の一つだと考えています。地域に根付いて愛され続けてきた映画館は、時代とともに色褪せながら、かたちを変えながら、人々を魅了し続けてくれます。たった2年間の神楽坂くらしの中でもそれを感じるほど、今では「なくてはならない存在」なのです。
そんなこともあって、コロナ前から名画座ユーザーとなった僕が実際に2年間の経験を通して感じた“名画座のある暮らし”について、3つの素晴らしき特長をご紹介したいと思います。
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目次
0.「飯田橋ギンレイホール」について
本題に入る前に、名画座「飯田橋ギンレイホール」について簡単にご紹介します。
ギンレイホールは2本立て興行のいわゆる名画座として、1974年から開業しています。
HP:https://www.ginreihall.com/hallinfo.html
場所は、神楽坂のメイン通りから一本裏の通りである「軽子坂」の坂下に位置しており、地下道(地下鉄飯田橋駅)からも直接アクセスすることができます。
ひっそりとした穴場のような、思わずキュンとくるレトロな雰囲気が特徴で、若者や老人まで幅広い層に愛されています。飲食物の持ち込みが自由という寛容さも特徴の一つで、地元の人にはちょうどよいゆるさがあります。
※最近は新型コロナウイルスの関係で若干ルールが変わっています
こうした名画座ならではの「特別感」と、笑い声や涙で鼻をすする音が聞こえてくるような「程良い人との距離感」があり、まさに、寛容さと温かさを兼ね備えた心地よい場所なのです。
そんなギンレイホールには、近所に住んでいる人はもちろん、遠くから通っている人までを魅了する「通いたくなる仕掛け」が随所に散りばめられているということがわかりました。
今回の記事では、名画座が近所にあることで私生活がどのように変わったかという視点でその特長をご紹介していきたいと思います。
1.いつでも行ける「マイ・シアター」を持つ感覚
①映画鑑賞が趣味に変貌!
まず、大きな変化の一つは、映画鑑賞が趣味になったということ。
単純な話ですが、以前に比べて映画を観に行く回数が圧倒的に増えました。
“場所を買う“という記事でも書いたとおり、家から徒歩5分ほどの距離にギンレイホールがあるという立地が場所選びを大きく左右しておりましたが、休日のちょっとした時間や会社帰りに余裕のある時に思いつきで『さて、暇だし映画でも観に行くか』と軽くふらっと立ち寄ることが多くなりました。
というのも、
ギンレイホールには「年間パスポート(=ギンレイ・シネマクラブ)」があり、この仕組みが非常に画期的で素晴らしいのです。
2本立て興行の名画座では、通常、チケットを買ってその日のうちに2作の映画を連続して鑑賞することができます。ただ、1本観るだけでもたまに集中力が続かないことがあったり、2本連続となるとなかなか気合と体力がいりますよね。
このパスポート会員であれば、1本だけ見て、次の1本をまた別の日に見るということできるのです。
お一人様の場合は年間税抜き1万円程度で通いたい放題なので、年間あたり映画を10〜20本観れば元をとれるというお得なプラン。僕の場合は、徒歩5分の距離に映画館があるというアクセスのよさもあったので、「ギンレイホールの会員」になるという選択に対して一切の躊躇はありせんでした。笑
これによって、仕事から早く帰れた日や、休日の空いた時間に気軽に利用することでができるようになり、映画に通うという行為自体がしやすくなったことが大きな変化でした。
②「マイ・シアター」感覚の気軽さ
また、それと同時に、ついつい興味のない作品でも観に行く機会が増えました。
予告やパンフレットだけ観て『なんとなく面白そうかも』と思い、とりあえず映画館に足を運ぶ日々を送っていましたが、例えば、週末の仕事終わりによい作品をみてハッピーな気持ちで一週間を締めくくることができるのも、”名画座のある暮らし”ならではの楽しみでした。
近所に名画座があることで「映画館に行く」という行為に対する敷居が一気に低くなり、回数をこなしていくうちにだんたんと趣味に、そして「マイ・シアター」を持つ感覚へと変貌していきました。
(ちなみに、昨年はなんと年間で80作以上もの映画を観ていました。すごい!)
変に気張ったり、気取らないところも名画座のいいところだと思います。
利用者の大半はご近所のおじいちゃんおばあちゃんだったり会社帰りのサラリーマンや主婦の方々で、比較的ローカルな雰囲気があって、肩肘張らずに行けるのがよいです。
それこそ、映画のはじまる10分前になって『さぁ行くぞ!』とバタバタ出かけることもよくあって、身なりも気にせず、走って映画館の席に駆け込むということもよくありました。笑
本当にこの気軽さがありがたい限り。
2.セレンディピティーに満ちた豊かなくらし
③映画鑑賞=自己成長?!
二つ目の変化は、さまざま物事に興味・関心を抱くことが増えたことです。
新しい映画との出会いによってこれまで関心のなかったことを知るきっかけになり、さらに興味を持つことで自分自身の成長にもつながりました。
おそらくどんな映画館、動画配信サービスでも同様の効果は得られるのかもしれませんが、
“名画座のある暮らし”では、特にこれが顕著に現れます。
ギンレイホールでは2週に一度上映作品が入れ替わり、洋画や邦画問わず、各国のホットな話題作が上映されます。例えば、国際映画祭で上映されるような評判の話題作から、一般的な劇場で上映されるような有名作品まで、幅広い枠組みの中からテーマ性のある2作の映画が隔週ごとに選定されるのです。
つまり、隔週ごとに「恋愛もの」や「時事ネタ」「戦争系」「アクション系」など、様々なジャンルの映画を楽しむことができるため、
ご近所の利用者にしてみれば、知らず知らずのうちに色んなジャンルに触れる機会が増え、
近所に住んでいない利用者にとっては、その時々のテーマに合わせて足を運べるという仕組みになってるのです。
(これがまたセンスのよい作品ばかりで、毎回新鮮で驚きに溢れた体験をさせてもらっています)
④映画で旅するワクワク感
これは同時に、これまで『興味のあるものを観たくて観る』という自分が選ぶ立場で映画鑑賞していたのに対して、『興味のないものでも面白そうだから観てみる』という与えられたものを得る立場で映画鑑賞をすることになったことが大きな変化だったのではないかと思います。
今では、映画を観終わったあとは、気になったことがあれば必ずググって調べるようになりましたし、後述のレビューを付け出してからは、映画と映画とのつながり(作者や上映時期など)なんかも気になって調べたりしています。
なんでも選択できる時代ですが、ここでは与えられたものを得るのが非常に心地よく、
ギンレイホールの運営方式によって、日々、セレンディピティが起こりやすい環境に身を置くことができていることに幸福感を得られているというのも、”名画座のある暮らし”を通した実感しています。
『映画で旅する』という感覚にも近いかもしれません。
3.言葉にすることで自らの糧に
⑤映画を記録するアプリ「Firmarks」
三つ目の変化は、レビュー(記録)をつけるようになったことです。
ギンレイホールに通い始めてからは、名画座はもちろん、最新の話題作を観にシネコンに行ったり、一人でのんびりと「ロードショー」や「Netflix」、「Amazon primeビデオ」で気になる映画を鑑賞する機会も増えました。
たくさんの映画を観るようになると、人におすすめしたい映画やその時々の自分の感情を共有したくなるような映画が増えますよね。さらに言うと、映画そのものの評判や、他の人はどんな思いでこの映画を観ているんだろうといった客観的な視点が気に出し始めたりします。
そこで、しばらくして「Firmarks」というアプリを使って簡単なレビューをつけ始めるようになりました。https://filmarks.com/
初めのうちは、『せっかく観た映画だから忘れないように』とコメントなしで記録だけつけるようにしていましたが、やはり前に観た映画をなかなか思い出せなかったり、自分の中でその映画をなかなか解釈できず人に伝えられずに悶々としていました。
もともと文章を書くのがそんなに得意な方ではなかったので、最初は一言メモ程度のものから始めて、徐々に文字数を増やしていきながら継続していきました。最近ではようやくレビューらしいレビューを書けるようになってきた気がします。笑
自分の言葉でしっかり記録することで、映画への理解も深まり、これまで以上に映画に対して興味を持つようになりました。
名画座に通い始めてからは、様々なジャンルの映画に触れて興味の幅が広がったことで、自分でも新たに面白い映画を発見する意欲が沸くようになったし、また、他人のレビューを見ることで映画の内容をより理解できるようになったりもしました。
「戦争系」や「時事問題系」は特に関連する映画を観ることで色んな背景・視点から楽しんだりもしています。
小さな積み重ねですが、僕にとって言葉にすることの重要性を強く感じたのが名画座との関係で培われた気がしています。今こうして記事にして言葉にしていることも、ひょっとするとこれらが原動力になっていたりするのかも。
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以上、名画座が近所にあることで私生活がどのように変わったかという視点でご紹介しました。この他にも、映画好きな友達と最新作を映画館で観に行ったり、ルームシェアの家に招いてみんなで映画鑑賞するという集まり(※神楽坂ギンレイホームという企画)も定期的に開催していました。
※『神楽坂ギンレイホーム』については改めて別の記事でご紹介できればと思います。
“名画座のある暮らし”は総じて、幸福感、QOLが上がること間違いなしです。
次の住まいを選ぶ際の基準としても「名画座・映画館」がランクインしそう。。
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toshinismでは、ルームシェア生活での発見や気づきを軸に、広く都市に住まうことについて発信していく予定です。
皆さんが当たり前に行っている日々の暮らし。
それは、たかが暮らし、されど暮らし。
まずは、多様な暮らしのなかの小さな気づきなどを通して都市に住まうことの豊かさを考える記事を “〇〇のある暮らし”というタグで書いていきます。
次回は、「銭湯のある暮らし」を紹介します!
ご興味関心のある方はどしどしご覧ください〜
それではまた👋
筆:MD